ローン相談

金利と手数料のトータルコストで比較する

住宅ローン全般 金利

公開日

2023.6.9

更新日

2024.3.19

住宅ローンの比較をする際、金利で比較する人が多いと思います。

金利よりも軽視されがちですが、融資に係る手数料も重要な要素の一つです。

今回は金利と手数料のトータルコストを比較し、そこから見える事を考えてみます。

 

比較の為に2つの銀行を想定します。

A銀行・・・金利:0.35% 手数料:融資額の2.2%(税込) 

B銀行・・・金利:0.625% 手数料:242,000円(税込)で一律

 

A銀行は金利が低いですが手数料は融資額に比例して増えます。

一方B銀行は金利はA銀行よりも高いですが手数料が一律です。

 

<<⑴借入5,000万円/年数35年で比較 物件価格5,000万円で諸費用は自己資金を想定>>

 

 

B銀行は手数料が安いため諸費用が858,000円安く済みますが、支払利息の差が大きく、支払利息+手数料のトータルコストで比較するとやはりA銀行の方が約170万円ほど安いという事がわかります。

 

次に借入8,000万円で比較してみます。

 

<<⑵借入8,000万円/年数35年で比較 物件価格8,000万円で諸費用は自己資金を想定>>

 

 

今度はB銀行の方が手数料は1,518,000円安いですが、やはりトータルコストはA銀行が約250万円ほど安くなっています。

 

このままだとやっぱり金利が低いA銀行の方が絶対的にお得じゃないか・・・という結論になってしまいますので別の視点から考えてみましょう。

 

 

☆手元に残った資金を35年間運用したらどうか??

 

 

手数料が安く済むということは、当たり前ですが手元にお金が残るということです。

その手元に残ったお金を35年間資産運用して、トータルコストで負けている金額を上回る利益を出すことが出来れば、ちょっと力技ですがA銀行に勝ったと言えなくもないと思います。では具体的にどのくらいの利率が必要なのか計算してみました。

 

 

(1)借入金額5,000万円のケース 

 

手元に残った858,000円を35年間複利運用して1,690,648円の利益を出すためには、何%の利率が必要か??

 

その結果は・・・約3.1%です。

(Excelの関数を用いて計算しますが、過程は省略します。)

因みに1年あたりの利回りを単純計算すると

1,690,648円÷858,000円÷35年×100=約5.6%

 

(2)借入金額8,000万円のケース

 

手元に残った1,518,000円を35年間複利運用して2,559,836円の利益を出すためには、何%の利率が必要か??

 

その結果は・・・約2.8%です。

こちらも1年あたりの利回りを単純計算すると

2,559,836円÷1,518,000円÷35年×100=約4.8%

 

現実には確定的に3%前後の複利がつく金融商品というものは今は無いとは思いますので、この利率はあくまでも感覚的な物差しにすぎません。一方で、投資信託を始めとする資産運用の平均利回りは3~5%と言われているそうです。当方、投資については全くの素人ですが上記の5.6%とか4.8%という利回りは、35年間という長期で考えれば決して無謀な数字ではないでしょう。なお税金や手数料といった事は考慮していませんので、あくまでもイメージを掴むためのものとお考え下さい。

 

資産運用せずとも、35年間で250万安くなるよりも今手元に150万残った方が価値が高いとシンプルに考える人もいるでしょう。一人一人にとってのお金の価値は、その人の人生のどのタイミングにおいても同じというわけではないと思います。

金利に注目することはもちろん大切ですが、このような視点で考えると金利だけを見て選択肢から外しがちな、手数料が安い銀行というのも一考の価値ありではないでしょうか。なお一部ネット銀行では手数料定率型と定額型を選択できます。定率型は金利が低く手数料が高い、定額型は金利が高くなりますが手数料が低い金額で一定というものです。

 

 

~おまけ~

 

 

上記の(1)と(2)を見ると、借入5,000万よりも借入8,000万の方が必要な利率(35年間かけてB銀行がA銀行に勝つために必要な複利)が低くなっています。(3.1%と2.8%)

借入金額が大きい程、手数料の差額が大きくなって、運用できるお金が増えるから必要な利率がどんどん下がるという事なのでしょうか・・?

 

気になったので実際に計算して表とグラフにしてみた結果が次の通りです。

 

<<表>>

 

 

<<グラフ>>

 

借入金額が小さい程手数料の差がなくなり、小さな金額で利益を出さなくてはならないため、1,200万円だと約10%になっています。差を限りなく小さくすると必要な利率も大きくなるということです。つまり借入金額が小さいと低金利銀行との差額を投資で取り返す難易度が高い。

そこから急激に必要な利率が下がってきて、2.5%前後で頭打ちというグラフになりました。

あり得ない話ですが50億円借りた場合でも2.44%なので8,000万円のときと0.43%しか差がありません。とても面白い結果です。

言葉で表現するなら、借入金額が大きい程、低金利銀行との差額を投資で取り返す難易度が下がりますが、3,000万円くらいを境に下がり方が緩やかになっていき、最終的に一定以下の難易度にはならない、という事が言えます。

 

ところで中学校や高校の数学でこんな感じのグラフを見たことがあると思います・・・懐かしい気持ちになりますね。

 

 

やや複雑な話になってしまいましたが、通常とは違った角度から考えたときのお話でした。

投資の相談は受けられませんが、住宅ローンのご相談ならお待ちしております。

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