最近の金利上昇に関するニュースを見て、自身の住宅ローンの支払いに不安を感じている方も多いかと思います。
今こそ、変動金利から固定金利に切り替えるべきか、これを機に借り換えを行うべきか悩ましいところです。
実は、住宅ローンの借り換えをした結果、損をしてしまうこともあります。
この記事では、金利上昇局面における住宅ローンの借り換えについて、メリット・デメリット、注意点、そして借り換えに適した人や条件など、詳しく解説していきます。
住宅ローンの借り換えには、以下のようなメリットがあります。
1.毎月の返済額を減らせる
現在の住宅ローンよりも低い金利で借り換えることで、毎月の返済額を減らすことができます。
特に、金利が上昇傾向にある場合、金利優遇幅の大きいローン商品をもつ金融機関を選択し、かつ「固定金利」型のローンを組むことで、今よりも毎月の支払額を抑えながら、将来の金利上昇によるリスクヘッジを行うことができる可能性があります。
ただし、「固定金利」は「変動金利」に比べて、金利が高く設定されていることが多く、固定期間が長くなればそれだけ金利も高くなるため、あまり長い期間を選択してしまうと、今より支払額が増えてしまうこともあるため、注意が必要です。
例:埼玉りそな銀行 住宅ローン 店頭金利(2024.10現在)
変動金利 | 固定2年 | 固定3年 | 固定5年 | 固定7年 | 固定10年 | 固定15年 | 固定20年 |
2.625% | 3.460% | 3.500% | 3.600% | 3.740% | 3.840% | 4.550% | 5.110% |
また、借り換え時に返済期間を延長できる金融機関がありますので、そういうところを選べば、毎月の返済額を減らすことができます。
2.総返済額を減らせる
毎月の返済額が減ることで、ローン完済までの総返済額を減らせる可能性があります。
ただし、借り換えには手数料などの諸費用がかかるため、必ずしも毎月の返済額や総返済額が減るとは限りません。
3.返済期間を短縮できる
毎月の返済額を増やすことで、ローン返済期間を短縮することができます。
返済期間が短縮されれば、総返済額を減らすことも可能です。
ただし、返済期間を減らすことで毎月の返済額は増える可能性もあるので注意が必要です。
4.条件のよい団体信用生命保険に加入できる
がん団信や生活習慣病保険など、最新条件での団体生命信用保険に加入できる可能性があります。
例:埼玉りそな銀行 人気の「団信革命」 ※過去(2024.7)の記事はコチラ
住宅ローンの借り換えには、メリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。
1.諸費用がかかる
借り換えには、事務手数料、保証料、印紙税、抵当権設定登記費用などの諸費用がかかります。
これらの諸費用は金融機関や借入額によって異なりますが、数十万円かかる場合もあります。
主にかかる費用は次のものになります。
抵当権の抹消費用 |
既存の住宅ローンを組むときに設定した抵当権の抹消費用(登録免許税、司法書士手数料、司法書士の交通費等実費) |
保証会社の保証料 |
新たに住宅ローンを組むときに発生する保証会社保証料(保証料ではなく手数料として支払う場合もあります) |
金融機関の手数料 |
新たに住宅ローンを組むときにかかる手数料 |
印紙代 |
新たに住宅ローンを組むためにかわす金銭消費貸借契約書に貼付 |
抵当権設定費用 |
新たに住宅ローンを組むときの抵当権設定費用(登録免許税、司法書士手数料、司法書士の交通費等実費) |
火災保険 |
新たに住宅ローンを組むときに火災保険が必要になります。 |
2.審査に通らない場合がある
借り換えには、現在の住宅ローンを組んだときと同様に、金融機関の審査を受ける必要があります。
収入が減っていたり、他の借入額が増えていたりする場合には、審査が通らない可能性があります。
また、健康面に問題があると団体信用生命保険に加入できないことで、希望する住宅ローンを組めない可能性もあります。
3.必ずしも得になるとは限らない
金利が上昇傾向にあるとはいえ、借り換えによって必ずしも得になるとは限りません。1%未満の金利差だと先に述べた費用の支払いで、返って総支払額が増えてしまうこともあります。
したがって諸費用や金利差などを考慮して、慎重に判断する必要があります。
住宅ローンの借り換えを検討する際には、以下の点に注意しましょう。
1.複数の金融機関を比較する
金利や手数料、サービス内容などは金融機関によって異なります。
複数の金融機関を比較して、自分に合った条件のローンを選びましょう。
auじぶん銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行などのネット銀行は、ネット銀行の特色をいかした金利以外でのサービスや独自のポイント付与による金利優遇幅の加算などがあることがあります。
しっかり内容を確認しましょう。
2.諸費用も考慮する
前述したとおり、借り換えには諸費用がかかるため、金利差だけで判断するのではなく、諸費用も含めた総返済額で比較しましょう。
以下にシミュレーションを記載しますので、参考にして下さい。
≪借り換えシミュレーション≫
当初借入金額3000万円、金利2.0%、35年ローン、借り換え時に諸費用80万円がかかり、その分を上乗せして借入するものとする。
【借り換え①】11年目に、金利1%で借り替え
【借り換え②】21年目に、金利1%で借り替え
|
借り替え 前 |
借り換え 後 |
総支払額 |
月々返済額 差異 |
総支払額 差異 |
借り換え なし |
月々 99,378円 |
月々 99,378円 |
41,738,760円 |
0円 |
0円 |
借り替え① |
月々 91,378円 |
39,338,760円 |
8000円得 |
約240万円得 |
|
借り替え② |
月々 97,215円 |
41,349,420円 |
2163円得 |
約39万円得 |
【借り換え③】11年目に、金利1.5%で借り替え
【借り換え④】21年目に、金利1.5%で借り替え
|
借り替え 前 |
借り換え 後 |
総支払額 |
月々返済額 差異 |
総支払額 差異 |
借り換え なし |
月々 99,378円 |
月々 99,378円 |
41,738,760円 |
0円 |
0円 |
借り替え③ |
月々 96,970円 |
41,016,360円 |
2408円得 |
約72万円得 |
|
借り替え④ |
月々 100,829円 |
41,349,420円 |
1451円損 |
約26万円損 |
上表からもわかるとおり、住宅ローン残債と残存年数が多く残っているうちに借り換えをした方が効果は大きくなります。
借り替え④のパターンのように、残債や残存年数が少ないと、借り換え時に支払った諸費用分を消化できず、かえって月々返済額や総支払額があがってしまうことがあります。
3.専門家に相談する
借り換えについてわからないことや不安なことがあれば、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみましょう。
以下のような人は、住宅ローンの借り換えを検討する価値があります。
変動金利型のローンを借りている人
金利上昇局面では、「変動金利」型のローンは金利上昇リスクが高いため、「固定金利」型のローンに借り換えることで、将来の返済額増加を抑えることができます。
住宅ローンの残存期間が長い人
住宅ローンの残りの返済期間が長い場合、金利差による返済額の減少効果が大きくなります。
現在の住宅ローンよりも高い金利で住宅ローンを組んでいる人
借り換えによって毎月の返済額を減らせる可能性があります。
金利上昇局面における住宅ローンの借り換えは、メリットとデメリット、そして注意点を理解した上で、慎重に判断する必要があります。
借り換えによって毎月の返済額を減らしたり、将来の金利上昇リスクを抑えたりすることができる一方、諸費用がかかったり、審査に通らない場合もあるなど、注意すべき点がいくつもあります。
借り換えを検討する際には、複数の金融機関を比較し、諸費用も含めた総返済額で判断しましょう。また、わからないことや不安なことがあれば、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。
・この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品やサービスの勧誘を目的としたものではありません。
・住宅ローンの借り換えにはリスクが伴います。ご自身の判断と責任において取引を行うようにしてください。
・金利や金融商品の情報は常に変動する可能性があります。最新の情報は、金融機関のウェブサイトや窓口でご確認ください。
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